一字違いで大違い

  以前、外資系企業に勤めていましたが、会社内部で英語の訓練がありました。

単なる英会話だけではなく、英語で上司を説得する方法やビジネスレターの書き方などのレッスンがありました。

さらに1か月間英語だけの訓練として、仕事を離れて社会人ばかりの英語教室。

というより、英語特訓所のようなところにも行く機会がありました。

 

その訓練所には宿泊施設もあり、日本語は一切話すことができません。

朝食は8時から食堂でとることができますが、4人掛けのテーブルに必ず一人のネイテイブが座り、

一緒に英語で会話しながらの食事となります。昼食や夕食も同じスタイルで英語を交えての食事となります。

朝食時は頭がまだ回転していないので、会話はなかなか弾みません。

 

午前中は一般的なレッスン、

午後は少しリラックスして映画を見ながらその会話を分析するような楽しいレッスン、

夜はなぜかビジネス英語でした。

この授業の時にはかなり疲れが出て、集中力にも欠けますが、レッスンは夜の8時まで続きました。

 

 

ここに来る生徒さんはすべて大人でどこかの企業で働き、近い将来外国へ行く人がほとんどです。

あまり英語が得意でない方もいて、来月外国に赴任する方などは悲壮にさえ見えました。

授業でプレゼンテーションなどがあると、もう皆さん必死になって夜も準備に励んでいました。

その中で私は自分の会社に戻るだけなので、のんびりと英語を楽しませてもらいました。

 

午後の一番リラックスできる、私にとっては一番面白い授業が終わった時でのことでした。

 

ある生徒が“I’m boring.”と先生に言ったのです。

その時先生は間髪を入れず、“Yes, you are boring.”と言ったのです。

 

おそらくその生徒は、大胆にも先生のこの授業が「面白くない、退屈だ」と言いたかったのかと思います。

先生もそれはわかっていたと思います。

ふつうなら自分の授業が退屈だと言われたら、ちょっと落ち込むのが日本人でしょうが、この先生は違っていたのです。

 

すぐさま切り返したのです。「そう、君は退屈な人間だよね」と。

お見事!

 

ところが、その生徒はこの英語を理解しておらず、自分の言ったことの間違いにも全く気付かず終わってしまいました。

この生徒は “I’m bored” と言うべきところを”I’m boring” と言ってしまったのです。

 

通常、This class is boring. でしょうか。

似たような表現として、I’m excited. とThis game is exciting.

また、I’m interested.  This book is interesting. などがあります。

主語に物が来たときには、-ing.  人が主語の場合 -ed となります。

ちょっとしたことに見えるかもしれませんが、一字違いで意味は大きく変わることがあるのです。

 

 

ちなみに、この先生はその生徒に “Yes, you are boring” と言ったあと、

私に向かってスマイルを送ってきたのを覚えています。

 

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