英会話教室をしていますと、「この日本語を英語にするとどうなりますか」と聞いてくる生徒さんがいます。
時には、非常に英語にするのが難しいものがあります。たとえば、「よろしくお願いします。」という日本語です。
普段頻繁に使うこの表現が厄介なのです。
新入社員はこの表現を会社のいたるところで使います。
そもそもこの表現の背後には、「新入社員ですので、わからないことがあれば教えてください。」とか
「もし間違いをしても大目にみてくださいね。」というような意味が含まれています。
これは日本人独特の甘えであり、英語圏ではこのような発想はあまりありません。
ですから、英語にすることが難しいと言えます。つまり、この言葉にぴったりの英語は存在しないのです。
仮に日本の会社で仕事が忙しくてどうにもならない時同僚に話すなら、
その同僚は、「じゃ、代わりに僕がやっておこうか」と言うかもしれません。
仕事が忙しいと言った人もどちらかと言うと、その返事を期待しているときもあるのです。
もし、その相手が英語圏の人なら「だからどうしたの(So What?)」という感じになるかと思います。
つまり、日本人のほのかな期待を全く意に介さないことがあるです。
もしお互い英語圏の人なら直接、「明日忙しいから、代わりにしてくれない?」と言うのではないでしょうか。
日本人はこのように言えば、相手はこのように答えてくれるだろうという甘えがあるのです。
それが、英語圏では誤解を招くことになります。
このようなことが分かっているつもりでも失敗することは多々あります。
以前、7人の生徒さんや知り合いとニューヨークに行く機会がありました。
ニューヨークに行くのはその時初めてで、できるだけ皆さんに心地良い旅をしていただければと願って日本を発ちました。
ニューヨークにある大きな施設を見学することにもなっていて、
ホテルからその施設まではタクシーか地下鉄かのどちらかで行くしかありませんでした。
ガイドブックなどを読むと、タクシーで行くとかなり渋滞がひどいとあり、
地下鉄は安全性に少し欠けるのではないかと思えるところがありました。
それで、どちらの手段で施設に向かうのが良いか確認しようと思いその施設に電話をしてみました。
心の中で、タクシーの方がいいよとか、地下鉄の方が以外と安全で時間通りに到着するよ
と言ってもらえるのではないかと期待しながら、お尋ねしました。
で、その答えは「それは君が決めることだよね。」との返事。
思わず、「Yes, that’s right. Thanks」と言って電話を切りました。
バリバリの日本人をしている自分に気づいて笑いが止まりませんでした。
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